Kanon

グラフィック
D−
シナリオ
B
文章
B−
操作性
C−
サウンド
A−
H度
E
総合評価
B

ByKEy

 今更説明するのもどうかと思う、すでに純愛系PCゲームの中ではバイブルとなっているソフト、それがKanonです。
 ストーリーは主人公が幼い日に訪れていた、雪の街に家庭の都合で引っ越してくる事から始まります。
 ゲームシステムはオーソドックスで、選択肢もシンプルなので攻略に手間取る事は殆ど無いと思います。(名雪をクリアした後じゃないと真琴のCGが埋まらない点が引っかかるかも)
 一連の感動系の奔りともいえる作品で、正直力技ではありますが、最初にプレイしたときは胸が締め付けられる思いでした(涙腺は無反応でしたが)
 KEy作品全般に言える事ですが、感動の要素がシナリオだけに依存する点が特徴的。登場人物の人間性が希薄な為、普段のやり取りの中で感動する下地が出来ず、シナリオはやや弛み気味。平均値は低いけど瞬間最大風力で勝負する感動といった印象です。

 Hシーンは恐ろしく淡白。ストーリーの進行上、明らかに不自然なものもあり、無理やりねじ込んだ感は拭えません。あまり18禁ゲームだという事を意識してやらない方がいいでしょう。
 サウンドは優秀な部類ですがグラフィックはかなり癖が強いです。やたら頭身が低く、プレイしていて違和感が残りました。登場キャラが、設定に関わらずみんなちびに思えて仕方なかったです。なんというか18禁ゲームの原画として相応しく無い気がします(汗)
 またシステム上かなり問題になると思うのが、現在では当たり前についている読み返し機能が無い事。慣れてしまっている事もあってものすごく不便です。KEyはKanonはもとよりAIRにもこの機能付けなかったんですよね。ここまで行くと作為的なものを感じてしまいました(汗)

 この作品の価値は本体そのものより、大量に出回っている二次作品を楽しめるようになる事になるのかも知れません。SS、ゲーム、漫画一通り出ていて、しかも量は膨大です。これらを楽しむためにプレイが必要、そういう逆説的な理論が成立する作品です。

 ……しかし、原作の絵が出回っている二次物と比べ、一番下手なのは如何なものかと(笑)


 以下ネタばれ

 これプレイ進めるうちにクリア後の爽快感がどんどん無くなっていくゲームですよね。誰と結ばれたとしても絶対に誰かは犠牲になっているわけですから。(しかも不特定多数)アフターケアが出来ていないと言うか……その辺もうちょっと考えて欲しかったです。もっとも次のAIRを見るに付け、その辺は狙ってる感がぷんぷんと漂っていますが。

 良くも悪くも感動させてなんぼのブランドですからね。また、よくよく考えてみれば18禁というにはかなり対象年齢の低いゲームだと思います。どちらかというと、KANONは18禁ゲームではなく多少対象年齢の高い童話と考えるとしっくり来、また納得してプレイする事が出来る気がします。

 登場人物の見た目の年齢と精神年齢が低いのはともかくとして、あの手の感動は年を取るにつれ素直に受け取る事が出来なくなってきますから。実際には小学生くらいにやらせるのが一番いい気がします。

 しかし、たとえ狙っていたとしても、これほどの多くの人を感動させられるブランドはそういくつもありません。なんだかんだ言ってきましたが、そのネームヴァリューに恥じない出来だとは思います。
 あれこれ文句つけないで済む様に、出来るだけ若い時にやっておきたい作品です(笑) 
 。