何処へ行くの、あの日

グラフィック
D+
シナリオ
B
文章
B
操作性
D
サウンド
C
H度
C+
総合評価
C

ByMOONSTONE

 現在、最も我が道を驀進中なブランドの一つ、ムーンストーンの第三作は萌えを一切無視した、SFアドベンチャーゲームです。
 ストーリーは「人を殺した」という罪の意識に囚われながらもその記憶を失ってしまっている主人公が、ふとした事から手に入れたタイムトリップを可能にする秘薬「マージ」を使い、自分が過去に犯した罪の真実を確かめに行くという、およそこの手のゲームではお目に掛かれないようなものになっています。
で、ストーリー的には優秀だとは思うのですが、色々と問題を内包する作品です。
 システム的にはセーブ数が極端に少なく非常に不便。サウンドも月並みで、グラフィック的には優秀とは言い難く、作品の雰囲気に合わせてのことでしょうが非常に古臭い印象を与えるCGです。
 キャラクターにはすでに述べたように「萌え」といった要素に乏しく、またメイン以外のヒロインのシナリオはひどくおざなりな印象です。
 SF若しくは推理物としてはそれなりに楽しめると思いますが、そういった物が苦手な人は買わないほうがいいでしょう。かなり買い手を限定する作品です。

以下ネタばれ

 どうでもいいですけど、最近へたれな主人公が多過ぎじゃないでしょうか?最近やるゲームやるゲームみんな主人公がへたれな気がします(汗)
 それはともかく、一番この作品で印象に残ったのが主人公の義妹の絵麻。一応義妹となっていますが、彼女が義妹だということを示す描写は最初のほうに数箇所あるだけで、また、主人公が彼女との肉体関係に極端な背徳感を持っていることから、彼女と主人公の関係は義理ではなく本当の兄妹と見たほうが適切でしょう。(そもそもそう考えないと色々と矛盾点が噴き出すので)
 現在のソフ倫規制では表面上は義理にしなければ発売出来ませんからね。
 で、彼女の妄執的な兄への愛は見ていて非常に面白い(?)ものでしたが、それだけにトゥルーエンドには物足りなさを感じました。もっとドロドロしたものを期待していただけに、あんな「めでたしめでたし」みたいな終わり方はいただけません。彼女にはもっと凄惨な形で実兄への愛を貫いて欲しかったです。
 「水夏」や「あした出逢った少女」にも関わったシナリオライター呉氏が手掛けるということなので個人的に期待していた作品なのですが、エンディングのせいでいまいち感が強かったです。
 中途半端にユーザーに媚びてしまった印象で、それまでのシナリオ展開からは乖離してすらいた気がします。
 ハッピーエンドの方が万人向けはするのでしょうが、もう少し救われない終わり方をする方がこの物語にはあっていた気がします。

追記:最近どうもソフ倫規定が緩くなってきた印象があるのですが、この作品もう少し製作されるのが遅かったらどういう内容になっていたのか興味のある所です。