グリーングリーン3

グラフィック
C+
シナリオ
B
文章
C+
操作性
C
サウンド
C
H度
C−
総合評価


ByGROOVER

 鐘ノ音学園を舞台にしたグリグリシリーズもこの「グリーングリーン3〜ハローグッバイ〜」でいよいよ完結。鐘ノ音学園を舞台に暴れまわった個性豊かな登場人物達ともこれでお別れです。。
 前作、前々作で「男女共学化」「廃校騒動」と事件が続いた鐘ノ音学園。今回は女子寮爆破で物語の幕が開きます。
 主人公は1と同じく高崎祐介。ファンディスク以外では珍しく、今作は前々作のヒロインの一人朽木双葉エンド後の話と相成っています。
 お馴染みの三馬鹿は勿論の事、2の登場人物達もちらほらと顔を見せます。最低でも1をプレイしていないとこの作品を十分に楽しめる事は出来ないでしょう。2で影が薄かった三馬鹿も今作ではフル回転。笑いは勿論、シリアスは見せ場も今回は提供しています。

 作品の質としてはシリーズ物と言う事もあって、これまでとの大きな差異は見当たりません。グラフィック、シナリオ共にスタンダードとは言い難く、特にシナリオはヒロインとのからみより、主人公達の鐘の音からの「卒業」をメインテーマに据えている感があり、あまり「ギャルゲー」という印象を抱かせない出来となっています。青春の一こまを描いた作品ですが、そこに占める恋愛の割合は(ヒロインによって多寡はありますが)他に比べてかなり少なく、萌えなどといった類の物を期待しても無駄でしょう。Hシーンに関してもそれ単体でどうこうするような物だとは思えません。

 シリーズを締めくくる集大成としては過不足ない出来に仕上がっていると思います。シリーズをプレイして来た人はぜひこの3もプレイしてみてください。

 蛇足:双葉は攻略を最後にした方がいいというのは私からの余計なお世話


 以下ネタばれ

 この作品の一番の特異性は前々作の主人公が再び主人公として登場し、尚且つその設定が前回登場作のヒロインの一人双葉エンド後になっているということだと思います。以前の主人公が後の作品で登場する事自体はそれほど珍しい事ではないと思いますが、その場合大抵はメインヒロインと結ばれたあとの設定でチョイ役として出演するとかが常道ですからね。このグリグリ3のように前作のヒロインという彼女持ちの状態で主人公として再登場する作品を私は他に知りません。
 何故このような設定にしたのか? 同じ主人公を使うにしても前作では誰ともくっつかなかったという設定でも良かったはずです。でも敢えてヒロインの一人双葉を彼女として再登場させた。そこで表現されたのは「愛は永遠ではない」というつまらない事実です。
 このような純愛系(と言うのも語弊がありますが便宜上)のエロゲーでは多くの場合、主人公とヒロインが知り合い、恋愛をし、結ばれるまでが作品のメインとして描かれています。いわば一番相手の異性に対して情熱的である時期までを描いているのであり、結ばれた後の二人の関係はエンディングなどで多少語られる程度が関の山で作品に占めるウェイトは決して多くありません。
 そしてその恋愛絶頂期で作品の時間はストップしている訳ですから、自然二人は別れる事も無く永遠に愛しあった状態のままで完結してしまいます。仮初の世界だからこそ形作られる仮初の永遠の愛の完成です。
 グリーングリーン3の主人公高崎祐介とその恋人朽木双葉は1で描かれていた恋人としての蜜月が終わった状態でこの3に再登場しています。
 些細な事で二人はすれ違い言い争い、嘗て二人の身を焦がした恋心は既に記憶の奥深くに隠れ潜んでしまっています。
 そして双葉シナリオ以外での二人はその溝を完全に埋めきるには至らず、非常にあっさりと、自然消滅に近い形で恋人という人間関係に終止符を打ち、3の主人公としての高崎祐介は新たなヒロインとの新たな恋を育むのです。
 ここで特筆すべきは二人の別れに何の山場の修羅場も無いという事です。それどころかシナリオによってはちゃんとした別れの言葉さえありません。
 それはゲームと言うファンタジーの中に突如として現れたリアリズムです。
 実際の世界では恋愛の始まりや終わりにさしたる山場が無い事など決して珍しい事ではありません。無論そこに至るまでに何かしらのやり取りはありますが、物語として特筆されるような別れなどそう多くはないでしょう。
 人を愛するのに理由は要らないと言いますが、それは同時に、その恋が終わるのにさしたる理由はいらない、という事柄との裏表でもあります。始まりに理由が無いのなら終わりにも理由はいらない。そう難しい話ではありません。そして人間が人間である限り恋とは必ず有限の感情でしかありません。
 そんな現実では当たり前でありふれ過ぎた事実もことゲームの中に限って言えば斬新な輝きを放ちます。
 
 この愛も永遠じゃないかもしれない。だけど終わる事を恐れていたら始める事なんて出来やしない。そして、今は色褪せたあの時の恋心は決して偽物なんかじゃない。
 だから人は再び恋をする。

 永遠を否定する事でもう一歩踏み込んだ永遠の愛。
 この作品で描かれていた物の私なりの解釈です。