ラムネ

グラフィック
B−
シナリオ
D
文章
C−
操作性
C
サウンド
B−
H度
B−
総合評価
C

Byねこねこソフト

 「みずいろ」に続き、「普通」の物語を標榜したねこねこソフトの第五段「ラムネ」は文字通りみずいろを踏襲した作品になっています。
 過去パートシステムなどがそのままなのはいいとして、シナリオ&キャラクターまで使い回しなのはいただけません。みずいろをプレイした事のある人なら思わず眉を潜めてしまうようなその類似性は手抜きの謗りを免れないでしょう。それでなくとも浅い上に短いシナリオで見るべき物は殆どありません。
 また、相変わらず文章力は問題外。文才が致命的に欠けていて読んでいてひどく退屈です。ただし、おそらくは新人でしょうが一人だけ優れた書き手が参加しています。その人が書いた部分だけ浮き上がってしまうのは問題ですが。
 サウンドは前作に比べるとどうしても見劣りますが及第点ではあると思います。が、気になったのはSEのお粗末さ。唐突に途切れる蝉の鳴き声やオンオフを繰り返す雨音、不協和音を鳴らし続けるエンジン音などひどく耳障りでした。
 それともう一つ、個人的に非常に違和感を覚えたのがファッションセンスの劣悪さ。いくらゲームとはいえ、頭を抱えたくなるような服装の数々は見ていて非常に滑稽でした。受け狙いという訳でもなさそうなので単純にそっち方面に疎いだけなんでしょう。センス悪っ!
 以上、全体的に雑な作りという印象が強いです。複数いる原画家とシナリオライターは調和がとれておらず、サブキャラクターはやっつけ仕事。SEは雑でシナリオは使い回し。とてもお薦め出来る物ではありません。

 以下ネタばれ

 冒頭の過去パートだけなら優秀な作品でした。いえ、決して私がロリコンだからとかでは無く(笑)多分過去パートは新人の人が手懸けたんだと思います。今までの増長すぎる文章が影を潜め、優秀とまでは言えないまでも普通に読める程度の文章にはなっていましたから。
 私はこれに騙され随分とラムネに期待したのですが、所詮は儚い夢でした。本編に入ってみるとウンザリするような今までの文章に逆戻り。文章力というものは努力や経験では決して身に付かないという事を実感させられました。
 多分前作「朱」が不評だったせいでしょう。大ヒットしたみずいろを意識した作りにして挽回を図ったのでしょうが、身が伴わなくては意味がありません。無理矢理チビッコやぽんこつの後継キャラを出し、挙げ句は前作同様の性格反転。悪ふざけとしか思えません。
 多少洗練されてはいますが所詮みずいろの猿真似の域を出ない作品だと思います。物語背景やキャラクターなど第一印象は魅力的なゲームだっただけに、シナリオなどの中身の稚拙さが勿体ない作品でした。
P.S.
作中でえらそに語っていましたが、柔道の真髄は「柔よく剛を制す」ではありません。「柔剛一体」が柔道の真髄です。
……なんでエロゲーのスポーツ描写って例外無くいいかげんなんでしょ?