ショコラ 〜maid cafe ”curio”〜

グラフィック
C−
シナリオ
B
文章
A
操作性
D
サウンド
C−
H度
C
総合評価
B

By戯画

 
「いらっしゃいませ、ご主人様」

 近年もて囃されている(?)メイド喫茶定番の台詞でお客様を出迎えるアンティーク喫茶「curio」。主人公が父親の経営するこの店を店長代理として任されるところから物語は始まります。
 プレイしていて、また世界観を共有した次作であるパルフェと比べて一番気になったのがシステム周りでした。システムは攻略したいヒロインをストーカーしていくというよくあるタイプのものですが、主人公が経営者ということもあってか微妙に(本当に微妙に)そこにゲーム性を取り入れているのですが、これがかなりのマイナス点。ヒロインに会いに行かずに溜まった仕事を片付けるという単純なものなのですが、仕事が一定以上に溜まれば問答無用でゲームオーバーな上に、ヒロインのイベント発生タイミングが目視出来ない為、特に同時攻略時にはかなりの足かせとなります。そしてこの作品、テキスト量とイベント数が少ない割にゲームの期間が長く、同時攻略をせずにプレイするのはかなりの苦痛。パルフェのシステムはかなり快適なので、それと比べるて殊更にというのもあるかもしれませんが。
 サウンドは並程度ですがグラフィックはあまり高評価出来る代物ではなく、立ち絵の違和感と一部デッサンの狂いが気になりました。
 Hシーンは当然(?)メイド服着用が多いです。数も複数用意されていますので、絵さえ許容できれば問題無いと思います。
 シナリオは玉石混合という印象。メイン格のシナリオが陰鬱としたイメージを漂わせ(テキスト量の割には)重厚に練り上げられているのに比べると一部ヒロインのシナリオはあっさりとし過ぎていて拍子抜けしてしまいます。正直、頭数合わせの印象が強く、存在する理由が見つけられませんでした。
 全体的に定番の話が多く目新しいものはないのですが、テキスト自体の質が良質なため苦にはならないと思います。しかし、個別ルートに入ってからもヒロインをストーキングせねばならず、どうしてもテンポが悪くなってしまうのが気になりました。テキスト量減らす為の手抜きじゃねえか?
 テキストは上質で、癖が少ない印象です。王雀孫や奈須きのこなどのシナリオがビンテージワインだとしたら、こちらは非常に上質なテーブルワインといったところでしょうか。絶賛はされなくても万人に受け入れられやすいでしょう。
 
 次回作にあたるパルフェが面白かったので購入した作品でしたが、予想以上とは言えないものの、それなりには楽しめた作品でした。パルフェをプレイする方はこちらを先にどうぞ。

 以下ネタばれ

 三角関係っていいですよね。修羅場とか美人の嫉妬(女の嫉妬に非ず)とか大好きです。個人的にはもう少し修羅場やどろどろしたシナリオを期待していたのですが、あまり万人受けしそうにないのであの程度が丁度いいのかもしれません。
 上にも書きましたが、ヒロイン無駄に多すぎると思います。メガネとか巨乳とかなんの捻りも無いやっつけ仕事みたいなシナリオでわざわざ攻略させる必要は無かったのではないかと。というか、メイン格のヒロインシナリオを見た後だと、彼女らに主人公が移り気する理由が無いような気がします。唯一、巨乳が処女じゃなかった点は好感持てましたが。あれで処女だったら異常でしょう。
 パルフェに比べるとどうしても荒削りな印象を受けてしまう本作ですが、逆に言えばパルフェはそれだけ前作の欠点を踏まえた上で作られたという事で。そのあたりは素直に素晴らしいと思います。
 しかし、ツンデレはいいですね。翠シナリオをプレイしただけでもう満足してしまった私。