天使のいない12月

グラフィック
S
シナリオ
C−
文章
C
操作性
C+
サウンド
B
H度
B−
総合評価
C

ByLeaf

 老舗リーフが放った全編に暗い空気が漂い、発売前から鬱ゲーという評判の付いてまわった作品です。
 作品のテーマは「不の感情」とでも言うべきでしょうか?ゲームのスタイルはオーソドックスな恋愛物と変わりありませんが、ヒロイン全員が何らかの心の闇を抱えている点に特徴があります。
 もっとも鬱になるほどの内容かと問われると、答えは「No」です。ゲーム自体がやたら短いため、あまりストーリーとキャラクターが掘り下げられておらず、中途半端なタイミングで勝手にクライマックスになってしまったというのが印象です。主人公が鬱すぎて引いてしまうというのもあるかもしれません。
 サウンドは良好、グラフィックの質は超一流と言ってもいい出来なのですが、暇つぶしに書かれたようなシナリオが全てを台無しにしています。
例によって値段は暴落しているので原画家のファンの方はやってみるのもいいかもしれません。

 以下ネタばれ

 見た目で買うのを決めると痛い目見るぞ、と全身で警告しているような作品でした。誰かが「リーフはもう終わった」と言っていましたが、この作品をプレイした後では否定しきれません。
 全てはシナリオに原因があります。まず、やたらテンション低い主人公。どうしてそうなったのか? そんな説明が無いため、私には彼はダウナー系の麻薬中毒者にしか見えませんでした。タバコよりもヘロイン吸ってる方が似合うでしょう。
 次にヒロイン。テーマの割に薄っぺらい感が拭い切れません。援助交際とか自殺願望とか喪失感とか。シンプルな題材なのにシナリオに捻りが無さすぎます。あんな展開では鬱にはならないし、ましてや恐怖など抱ける筈もありません。
 この作品、シナリオライターの一人相撲という印象が強いです。おそらくは壮大なテーマがあったのでしょうが、全く表現しきれてません。言いたい事を好き勝手言っただけで、物語としての面白さが見当たりません。
 ライターは斬新なテーマに挑戦した。と、それだけで自己満足し完結しちゃったんじゃないでしょうか。もう少しユーザーからの視点で作品を眺めてもらいたかったです。