月姫

グラフィック
E
シナリオ
B+
文章
C
操作性
C
サウンド
D−
H度
B−
総合評価
B

ByTYPE-MOON

 同人ゲームにも関らず、その枠を超えて大ブームを巻き起こし、TYPE-MOONの名前を一躍世に知らしめた出世作。魔眼を持った主人公と吸血鬼達人外の者とが繰り広げる壮大な物語はしかし、非常に癖の強い作品に仕上がっています。
 まずグラフィックがまるでお話にならない事。原画、塗りとも及第点には程遠く、商業はおろか同人ゲームの中でもかなり底辺に近いレベルです。唯一救いなのはキャラクターにはそれなりの魅力がある事。造形だけならそれなりに優秀なのです。もっともそのため「もったいない」という印象は拭えませんが。またシナリオ&文章力は非常に評価に苦しむものです。簡単に言えば才能は有るものの荒削り過ぎるのです。たとえばKEyのシナリオを洗練された小川のせせらぎとすれば月姫は全てを押し流す氾濫した濁流といった感じでしょう。誤字脱字は言うに及ばず、シナリオ上の矛盾点、あくの強すぎる地の文、明らかに考証を間違えている部分など数限りないのですが、それらを全て押し流せる勢いがこの作品にはあります。それは商業作品群の追随を許さないもので、非常に魅力的です。ただし、こういった勢いは長く続かない上、文章を洗練させようとするとその魅力を全て失うことになりかねません。これからライターがどういった変化をするのかが大きな問題点です。
 決して万人向けではないですが、やってみる価値はあると思います。

 以下ネタばれ

 良くも悪くも同人作品といった感じですが、気になったのはエンディングについて。わざわざエンディングを各キャラ二つずつ用意しているのは、ユーザー側への媚、と受け取るのはうがち過ぎでしょうか?
 せっかくの美しいストーリー、エンドを二つ用意することにどれだけの意味があったのかは計りかねます。どっちのほうがいいかは人それぞれでしょうが、とりあえずどっちかに絞ったほうがよかったのでは?というのが感想です。プライドと商業意識がぶつかり合った結果かもしれませんが。
 また、個人的には主人公の性格がかなり嫌でした。冒頭で思いっきりヒロイン殺しておきながら、そのあとはやたらウジウジウジウジ。あの性格はどうにかならないものでしょうか?ストレスで胃に穴が開きます。
 しかし、あのグラフィック、あのサウンド、あの文章でこれだけのブームを巻き起こしたのは見事としかいえません。そしてその事は次のFateでより実感できる事になります。