うたわれるもの

グラフィック
A+
シナリオ
B
文章
B−
操作性
B
サウンド
B
H度
C
総合評価
B

Byリーフ

 こみっくパーティーを大ヒットさせたリーフ東京開発室が放つ獣耳満載のシュミレーションRPG。うたわれるものの感想は非常に勿体無い作品、でした。
 有名原画家の書く絵は例によって非常に美しく、また登場人物の殆どが獣耳というマニアックな設定は好きな人には堪らないものでしょう(笑)ただし、Hシーンは淡白で登場人物のわりに数が少ないですが。
 最近の大作ゲームには珍しくOPに主題歌は入っていませんが、代わりに入っているBGMはなかなかいい出来で、ゲーム全体のBGMも良質です。
 シュミレーションパートも面白いと言える出来で、Hシーンの全く無い前半部分も退屈するには至らないと思います。また難易度もそれほど高くなく好みのキャラだけを使ってクリアする事が出来ます(嫌いなキャラを使わざるをえないスパロボは個人的にストレス溜まります)
 ストーリーも複雑にしすぎたきらいはあるものの、一応筋は通っていて、なかなかにいい出来でした。
 ただし、人名や地名がモンゴル語のような系統でまとめられている為、アクセントや語感が特殊で覚えにくい事この上ないです。世界観的にわざとそうしたと思われますが、それが良いか悪いかは微妙な所です(汗)
 で、全体としては良作と思えるこの作品が勿体無いと感じられたのは、ストーリーが完全な一本道な為です。ストーリーの分岐は一切無く、エンディングも一つ。数少ないHシーンも一回のクリアで全てが回収できます。
 要するにやりこみ要素が殆ど無く、一回クリアしたら「はい、さようなら」なゲームなのです。正直物足りない感は拭えません。
 もしこれでストーリー分岐があり、Hシーンとエンディングの種類がもう少し多ければ、文句なしに傑作と言える出来だったと思います。
その点だけが残念でなりません。

以下ネタばれ


 なんかゲームの内容とは全く関係の無い事を書きます。ご了承ください。

 こみパの所でも書きましたが、この作品はF&Cからの移籍組リーフ東京開発室の作品です。で、リーフには他に誰彼やRoutesを手がけた伊丹開発室(本社)というのがあるのですが、この二つの開発室は見事に役割分担が成されています。墓穴を掘る係(伊丹)とそれを埋める係(東京)とに。
 要するに伊丹の失敗(売れない作品大量に作ったり、変な端末開発したり)で出来た赤字を東京の作品(売れまくったこみっくパーティー)で穴埋めしているわけです。
 で、この役割分担(笑)がうたわれるものの開発に悪影響を与えたように私には思えてなりません。というのも、うたわれるものの発売はちょうど、伊丹のPIECEという変な端末(ゲームウォッチとソフト開発キットを足して十で割ったようなもの)の発売と被っています。
このPIECE、当然のように全く売れなかったそうですが(ちなみにこのPIECEの失敗でこみパの売上をかなり食い潰したとか)私は言いたいです

「んな下らないもん開発する金有るなら、うたわれるものの開発費増やしてやれよ!」

 そうすればもっとシナリオのボリュームを増やしてマルチエンディングを導入する事も出来たんじゃないか?そんな考えがどうしても頭を過ぎってしまいます。つうか、東京開発室だけ独立すればもっといいソフト作れるんじゃないでしょうか(笑)

 いい作品を売って儲けたお金で、次の作品はよりお金をかけよりいい作品を送り出す。そんな図式がリーフでは成り立ちません。孝行息子がいくら稼いできても駄目親父が全て飲み代に使っちゃうのですから(笑)
こんな図式が東京開発室の面々のモチベーションを著しく低下させていないかと余計な事を心配してしまう今日この頃です(笑)

 ……もしかしてその結果が「天使のいない12月」なのかもしれませんが(汗)