Wind -a breath of heart-

グラフィック
C
シナリオ
D+
文章
C
操作性
D−
サウンド
C
H度
D+
総合評価
C

Byminori

 「ちょっと不思議な学園ラブストーリー」という触れ込みのこの作品は、住人全員がちょっとした力(魔法のようなもの)を使うことの出来る風音市を舞台に、幼い頃に別れた主人公とヒロインが再会する所から物語が始まります。
 ストーリーを除けば至ってシンプルな作品です。特に目新しい部分は無く、なので殊更粗が目立ちます。
 最初に気になったのはキャラクター達の声。冒頭から聞こえてくる知能指数低そうなヒロインの独り言はともかく、耳障りな声で騒ぎ立てるエセ関西弁の友人の声は非常に不愉快です。一部例外を除き全体的に声優の質が悪く、作品の完成度を下げています。プレイした後でパッケージに「声に拘った」などと書いてあるのを見つけた時には笑ってしまいました。
 グラフィックは他の作品に比べて極端に線が太いのが特徴的。安いアニメ絵のようで万人受けするような物ではありません。
 また、サウンドは並程度、システム面は鈍さが目立ちました。
 が、それよりなにより問題なのはシナリオ。ぶっとんだその展開はともかく、人間の心理面の書き込みがめちゃくちゃで、ほとんど冗談のようにシリアスな展開を続けてくれます。なので画面じゃ真面目な話が進められているのに全く感情移入出来ません。
 キャラクター達の行動と思考に一貫性が無いのが原因だと思われ、安っぽい三文小説という印象を拭えません。
 あまりお薦め出来る作品ではありませんが、深夜のC級映画を見て楽しく笑う事が出来る人はプレイしてみてもいいかもしれません。

以下ネタばれ


 ちょっと、というか、かなり不思議でした。製作者と登場人物の頭の中が。
 「いぬいぬ〜」「ねこねこ〜」と叫ぶ十八歳はいねえよ!という突っ込みは18禁ゲームでは通用しないので置いておくとしても、父親が殺されたのにそれをほっといて主人公に「これだけアプローチしてんのになんで落ちねえんだよ!」と逆ギレする(一部誇張あり)メインヒロインとか、姉が主人公の事を好きだと知っているのにそれをあっさり無視し、しかもなんの脈絡もなく主人公に肉体関係を迫りこれを奪ってしまう眼鏡の悪魔(勝手に命名)とか、海藻よろしく、選んだヒロインが死のうが生きようが周囲に流されるだけで我関せずを通す(キスまでされてもアプローチされてるって気付かない)主人公とか、頭抱えるか笑い飛ばすかの二者択一しかないキャラクター目白押しです。
 KEyやTYPE-MOONに代表されるよう、登場人物の多くが精神異常者というのはすでに殊更取り上げるほど珍しいものではないのですが、それにしてもこの作品のキャラクター達は際立っています。というのも、彼女らが露骨な悪意を持って行動しているからです。
 一番印象に残ったのは出し抜けをかまして主人公を姉から掠め取ったわかば(眼鏡の悪魔)
 それまでそんな素振りを全く見せないでおきながら、二人きりになるや否やいきなり主人公に身体を求めるんですからね。行動に姉への悪意以外の必然性が認められません。ちなみにこのわかば、風音市の住人が持つ不思議な力を使って病弱な姉の望を生き長らえさせていました。ある意味姉の生殺与奪を握っていたのですが、この不思議な力が消えてしまうエンディング後、何故か主人公が望と結ばれた場合に限り望は死んでしまいます。この辺、わかばのそこはかとない悪意を感じてしまうのは私だけでしょうか(汗)
 そういった事を考えてしまうほど、このわかばというヒロインは私に嫌悪感を抱かせました。今までプレイしてきたゲームのヒロインでも随一でしょう。
 もしよかったら、彼女のエンディングでの、そのおぞましい笑顔を確かめてみてください。